西村道弥造『鉄木瓜形釜釣』大西浄長極箱

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木瓜形で先端が丸く細工してある瀟洒な作品です。作は西村道弥で利休時代からおよそ100年後のものです。西村家は千家出入りの釜師で鉄も上質なものを使用しております。写真では伝わりにくいですが、350年という長い年月を経てとても味わい深く、寂び道具に相応しい鉄味に育っております。
箱は千家十職大西浄長の極箱で、蓋裏に「鐵木瓜釣 右元禄年時代古道弥作無紛者也 壬戌初春日 御釜師

■ 大西清右衛門」として印が捺してあります。壬戌とは大正11年(1922)のことですので、浄長56歳頃の箱書ということが判ります。
*箱書には元禄時代と書かれていますが、道弥の没年(寛文12年)より後になります。以前は西村道弥の生没年が享保年間(1716~36)頃と曖昧であったため、浄長が古道弥と極めてもおおよその時代(元禄時代)で記されたのだと思います。最新の資料では道弥の没年は寛文12年(1672)とはっきりしているようです。

極箱。

幅20.5㎝(先端の中心同士を計測)高さ18.8㎝ 

≪作者≫
西村道弥(にしむらどうや)初代
?~寛文12年(1672)
西村家初代。京都三条釜座に住し、千家に初めて出入りするようになり、表千家4代江岑時代の釜師として活躍した。西村家は代々『道や(弥・也・爺)』を称しているので、初代を『古道弥』と呼び慣わしている。

≪極め≫
▢大西浄長(おおにしじょうちょう)
慶応2年(1866)~昭和18(1943)
千家十職(釜師)。大西家13代。浄典の長男。名 清右衛門、諱 孝信、号 清右衛門。茶道衰退の時代に家業を継ぎ、苦しい時代を過ごしたが、明治後半には茶道の興隆に力を傾けた。橋本関雪や山元春挙の下絵を鋳込んだ釜など、日本画家との合作も多く残している。謹厳実直な性格を映して、釜作も生真面目さが表れている。

【参考文献】
落款花押大辞典 淡交社
茶道具の名工・作家名鑑 淡交社
茶道辞典 淡交社

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カテゴリーホビー・楽器・アート > 美術品・アンティーク・コレクション > 工芸品
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